めざせ実験の達人-トラブル回避のコツと最新キットで極める!
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めざせウエスタンブロッティングの達人
Question

Q21. 抗体の保存方法がわかりません…

Answer
A.市販抗体の場合は,基本的に説明書に記載の通りにしよう.ただし,溶解後は分注して冷凍保存(できれば−80℃,なければ−20℃)して,凍結融解を繰り返さないこと!
市販の抗体では,種々の保護剤や抗菌剤などが含まれている場合が多く,それぞれの製品に最適な保存方法が通知されている.抗体は凍結融解の繰り返しで抗体価が低下するので予め小分けして冷凍し,解凍した分は冷蔵保存で使い切る.
A.原則としてラボでつくった抗体は,抗血清の場合はそのまま分注して冷凍保存(できれば−80℃,無理なら−20℃)し,凍結融解を繰り返さないようにしよう
抗血清はアルブミンなどの血清タンパク質が大量に含まれているため,抗体も比較的安定である.
A.原則としてラボでつくった抗体は,精製抗体(IgGなど)の場合はBSAやグリセロールなどの保護剤を添加して,小分けにして冷凍保存しよう(グリセロール添加の場合は−20℃でも凍結しないが,それで問題はない).またタンパク質濃度が薄くなければ(2mg/mL程度以上であれば)保護剤なしで分注して冷凍保存(できれば−80℃)しよう
精製抗体はタンパク質濃度が薄くなるため変性しやすい.そのためなるべく変性しないような条件で保存する.
A.酵素標識二次抗体の場合は,市販品の場合は説明書に記載の通りにしよう.ただし4℃で保存可能な場合も,長期保存の場合は凍結した方がベター!(ただし保護剤としてゼラチンが使用されている場合は凍結は不適である)
ゼラチンは凍結すると析出するため冷凍保存には向かない.
A.HRP標識(二次)抗体は,抗菌剤としてアザイド(NaN3)は使用できない.この場合,チメロサールを用いるかフィルター滅菌して保存しよう
アザイドはHRPを阻害する.なお,アザイドもチメロサールもともに毒物指定であるので要注意.
A.蛍光標識二次抗体の場合は,アルミホイルなどでくるんで遮光保存を心がけよう
蛍光物質が光により退色する可能性があるため.

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プロフィール

森山先生
森山 達哉(Tatsuya Moriyama)
京都大学農学部食品工学科卒.同大学院農学研究科修士課程,博士課程ののち,京都大学食糧科学研究所助手 等を経て2005年に近畿大学農学部講師,2008年准教授.その間,1996年米国スタンフォード大学招聘研究員(1年間).毎日多くの元気な学生たちと一緒に,食品成分の生理機能性(特に脂質代謝への影響)と安全性(特にアレルゲン性)に関する研究を行っている.基礎研究だけでなく,社会の役に立つ「アウトプット」を意識した研究を進めています.
<著作>
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