タンパク質のリン酸化は,タンパク質の構造や機能を動的に変化させ,さまざまな生命現象を制御している.抗リン酸化抗体を用いて,リン酸化のin vivoでの時間的・空間的解析が可能となり,リン酸化シグナルが,細胞内情報伝達,細胞分裂・細胞周期,細胞の生と死の制御,細胞極性制御,体内時計などの多岐にわたる生命現象をコントロールしていることが明らかとなってきた.本特集では,タンパク質リン酸化が司る多様な生命現象についての最近の知見の一端を紹介する.
生命活動の維持には,脳から器官への指令,細胞から細胞へのシグナルなど,膨大な情報の伝達システムが不可欠です.タンパク質のリン酸化は,このシステムの中で非常に重要な反応であり,タンパク質の構造や機能の変化を引き起こし,その結果さまざまなシグナルが伝わっていきます.近年の研究技術の発達によって,リン酸化シグナルが,細胞分裂・細胞周期,細胞の生と死の制御,細胞極性制御,体内時計などの多岐にわたる生命現象をコントロールしていることが明らかとなってきました.そこで本特集では,急速な進展をみせているリン酸化研究の最新知見と,リン酸化システムの破綻により起こる癌などの疾患との関わりについて解説します.
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