メカノバイオロジーを一言で定義すれば,“生体に生じる力の役割とそのメカニズムを解明する学問”といえよう.心血管系に代表されるように,生命活動は器官や組織の動き/変形で支えられている.動きや変形は,能動的(ATP依存的)な力で産み出されると同時に,器官や組織,そしてこれらを構成する細胞に受動的な力(応力)を発生させる.ただし,それらの力を感知してフィードバックするしくみ(力覚)がなければ,秩序ある生命活動は維持できない.その意味で力覚機構の解明はメカノバイオロジーの中心課題であり,過去35年間にわたる地道な力覚研究がメカノバイオロジーの興隆をもたらしたといっても過言ではない.その結果,力覚機構の破綻による数多くの疾病が分子・細胞レベルで解明されつつあり,これまでにない治療法や医療機器の開発が夜明けを迎えている.本稿では,メカノバイオロジーの生物学的意義と発展の小史を述べた後,本書の章構成に従ってメカノバイオロジーの現状と課題について概説する.… 曽我部正博(名古屋大学大学院医学系研究科メカノバイオロジーラボ) 続きを読む
メカノバイオロジーを一言で定義すれば,“生体に生じる力の役割とそのメカニズムを解明する学問”といえよう.心血管系に代表されるように,生命活動は器官や組織の動き/変形で支えられている.動きや変形は,能動的(ATP依存的)な力で産み出されると同時に,器官や組織,そしてこれらを構成する細胞に受動的な力(応力)を発生させる.ただし,それらの力を感知してフィードバックするしくみ(力覚)がなければ,秩序ある生命活動は維持できない.その意味で力覚機構の解明はメカノバイオロジーの中心課題であり,過去35年間にわたる地道な力覚研究がメカノバイオロジーの興隆をもたらしたといっても過言ではない.その結果,力覚機構の破綻による数多くの疾病が分子・細胞レベルで解明されつつあり,これまでにない治療法や医療機器の開発が夜明けを迎えている.本稿では,メカノバイオロジーの生物学的意義と発展の小史を述べた後,本書の章構成に従ってメカノバイオロジーの現状と課題について概説する.…
曽我部正博(名古屋大学大学院医学系研究科メカノバイオロジーラボ)
生体内での力の刺激が疾患発症に寄与することが次々と発見され,新たな展開をみせるメカノバイオロジー.力学的視点から組織レベルでとらえた疾患や生命機能の姿から,治療法への展開までご紹介します.
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