診療をゲームになぞらえるのは不謹慎かもしれないが,診療も「不完全情報」が前提となっている.患者さんの診療において,私たちは病歴聴取,診察,検査によって体内で生じていることを知ろうとするが,やはり不完全な情報から推測しているに過ぎない.この不完全情報状態のなかで患者さんに有益な決断ができる「強いプレーヤー」になるためにはどうすればよいのか? まず重要なことは「不完全」な状態のなかでも少しでも「完全情報」に近づくための努力を惜しまないことである.例えば麻雀であれば,ほかのプレーヤーがどの牌をどの位置から捨てたかを記憶することによって手の内を推測することができる(理牌していることが前提だが).同様に診療においても丁寧な病歴聴取を行うこと,細やかに診察すること,有用な検査を行うことなどによって得られる情報の量は確実に増加する. もう1つの方法は「不完全情報」のなかで勝率を高める努力をすることである.それには過去の臨床試験の結果(エビデンス)が役に立つ.エビデンスというと無作為割付比較試験(randomized controlled trial:RCT)の結果が重視されるが,その結果は決して絶対的なものではない.例えばあるRCTで「治療Aが治療Bよりも有効性が高い」とされたとしよう.ガイドラインは治療Aを推奨するかもしれない.しかし,これは実際には治療Aの方がよい患者さんと,治療Bの方がよい患者さんが混じっているなかで,合計すると治療Aの有効率が高かったという結果にすぎない.したがって,この結果に基づいて治療Aを選択するという行為は,単に治療選択が有効となる確率の高いほうに「賭けている」にすぎないのである.個々の患者さんの背景によって,より確率の高い選択肢は異なる可能性がある.
診療をゲームになぞらえるのは不謹慎かもしれないが,診療も「不完全情報」が前提となっている.患者さんの診療において,私たちは病歴聴取,診察,検査によって体内で生じていることを知ろうとするが,やはり不完全な情報から推測しているに過ぎない.この不完全情報状態のなかで患者さんに有益な決断ができる「強いプレーヤー」になるためにはどうすればよいのか?
まず重要なことは「不完全」な状態のなかでも少しでも「完全情報」に近づくための努力を惜しまないことである.例えば麻雀であれば,ほかのプレーヤーがどの牌をどの位置から捨てたかを記憶することによって手の内を推測することができる(理牌していることが前提だが).同様に診療においても丁寧な病歴聴取を行うこと,細やかに診察すること,有用な検査を行うことなどによって得られる情報の量は確実に増加する.
もう1つの方法は「不完全情報」のなかで勝率を高める努力をすることである.それには過去の臨床試験の結果(エビデンス)が役に立つ.エビデンスというと無作為割付比較試験(randomized controlled trial:RCT)の結果が重視されるが,その結果は決して絶対的なものではない.例えばあるRCTで「治療Aが治療Bよりも有効性が高い」とされたとしよう.ガイドラインは治療Aを推奨するかもしれない.しかし,これは実際には治療Aの方がよい患者さんと,治療Bの方がよい患者さんが混じっているなかで,合計すると治療Aの有効率が高かったという結果にすぎない.したがって,この結果に基づいて治療Aを選択するという行為は,単に治療選択が有効となる確率の高いほうに「賭けている」にすぎないのである.個々の患者さんの背景によって,より確率の高い選択肢は異なる可能性がある.
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