補完医療に関する情報は混沌の極みです.新聞や雑誌で大きく取り上げられ,中立公正な情報なのか,偏狭な主張なのか,それとも商業的広告なのかはっきりしないままの不確かな情報が患者さんに届けられています.そのような補完医療を詐欺だ偽医学だと非難する報道が注目されたかと思えば,西洋医学を否定するような情報も根強く発信され,まるで一種の宗教戦争であるかのような論争が紙面を賑わせています.情報が錯綜するなかで,いったい何を拠り所に患者さんは病気と対峙しているのでしょうか. 30年前,私はこの問題を強く意識せざるをえない出来事を経験しました.父の闘病と死です.当時はがん患者への病名告知が一般的でなかったため,父は疑心暗鬼のなか,不本意ながら補完医療を頼らざるをえないところへ追い詰められていきました.そして,最後は後悔して死んでいったのです. 当時は「患者中心」であるとか,「説明と同意」であるとか,「医療情報の非対称性」であるとか,「リテラシー」などという言葉はありませんでした.父の頃と比較すると,技術以外の側面でも医療はずいぶんとよくなったように思えます.でも未だに西洋医学と補完医療の間隙は埋められることはなく,むしろ深く酷くなっているように感じるのです. 読者の先生方も,過去に1人や2人は「どうして理解してもらえないのか」と,もどかしく感じる患者さんを担当したことがあると思います.補完医療に傾倒した患者さんの価値観を尊重しつつ,医師の責務を果たすのは非常に難しいことです.われわれ医師は,補完医療を否定したり知らぬ存ぜぬで不関知を貫くことで,責任回避,保身的になっていることはないでしょうか. 今回の特集では,統合医療や補完医療を取り扱いますが,補完医療の効果の有無についての検証を目的としていません.現に多くの患者さんに利用されている補完医療の現状を少しでも理解できるように,そして,そんな補完医療を利用している患者さんを担当する場合に,われわれがどのように対応し,補完医療提供者と連携していけばよいのか,手がかりとなるような内容をめざしました.
補完医療に関する情報は混沌の極みです.新聞や雑誌で大きく取り上げられ,中立公正な情報なのか,偏狭な主張なのか,それとも商業的広告なのかはっきりしないままの不確かな情報が患者さんに届けられています.そのような補完医療を詐欺だ偽医学だと非難する報道が注目されたかと思えば,西洋医学を否定するような情報も根強く発信され,まるで一種の宗教戦争であるかのような論争が紙面を賑わせています.情報が錯綜するなかで,いったい何を拠り所に患者さんは病気と対峙しているのでしょうか.
30年前,私はこの問題を強く意識せざるをえない出来事を経験しました.父の闘病と死です.当時はがん患者への病名告知が一般的でなかったため,父は疑心暗鬼のなか,不本意ながら補完医療を頼らざるをえないところへ追い詰められていきました.そして,最後は後悔して死んでいったのです.
当時は「患者中心」であるとか,「説明と同意」であるとか,「医療情報の非対称性」であるとか,「リテラシー」などという言葉はありませんでした.父の頃と比較すると,技術以外の側面でも医療はずいぶんとよくなったように思えます.でも未だに西洋医学と補完医療の間隙は埋められることはなく,むしろ深く酷くなっているように感じるのです.
読者の先生方も,過去に1人や2人は「どうして理解してもらえないのか」と,もどかしく感じる患者さんを担当したことがあると思います.補完医療に傾倒した患者さんの価値観を尊重しつつ,医師の責務を果たすのは非常に難しいことです.われわれ医師は,補完医療を否定したり知らぬ存ぜぬで不関知を貫くことで,責任回避,保身的になっていることはないでしょうか.
今回の特集では,統合医療や補完医療を取り扱いますが,補完医療の効果の有無についての検証を目的としていません.現に多くの患者さんに利用されている補完医療の現状を少しでも理解できるように,そして,そんな補完医療を利用している患者さんを担当する場合に,われわれがどのように対応し,補完医療提供者と連携していけばよいのか,手がかりとなるような内容をめざしました.
食事療法やサプリメント,漢方など聞かれて実は困る補完医療.患者さんも満足し適切な治療を進めるためにまず大事なのは,補完医療の知識ではなく統合医療の正しい理解です!基本的な考え方から実際の対応まで解説!
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第17回 慢性心不全
【加藤雅也】
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小児科医 宮本先生,ちょっと教えてください! 教科書には載っていない小児診療の極意,保護者への伝え方
第6回「風邪薬を飲んでくれません…」内服の工夫は? そもそも対症療法は必要?
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第16回 男性の健康問題〜on going で作成し,実臨床にフィードバック
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