皆さんは最近「剖検」に立ち会ったことがありますか?
自分が担当していた患者さんがお亡くなりになることは大変残念な結果です.診断がわからずにお亡くなりになる,あるいは診断が正しいはずなのに治療が奏功せず,不幸な転機をたどる患者さんもいらっしゃいます.はたして,自分の診断や治療方針は正しかったのでしょうか?
患者さんのため,そして自分の成長のためにも自分が担当した患者さんの剖検に立ち会い,臓器の所見を観察し自分が記載していたカルテとの相違を振り返りましょう.医師として成長してゆくためには「マクロ」の視点と「ミクロ」の視点を交互に使い分けながら,「原因」と「結果」を考察し,病態生理の知識の土台を構築することが重要です.剖検から学ぶことは数多くあります.
当院は年間100体以上の剖検例を有する国内有数の病院です.当院の初期研修医は必ず研修期間中に剖検を経験します.また症例カンファレンスを毎月開催し,研修医同士で症例を共有しともに学んでいます.実際の症例に基づく経験は,教科書には書いていないリアルな実体験として自己研鑽にきわめて有用です.
当院で開催するCPC(Clinico- Pathological Conference)では症例カンファレンスとは別に,とりわけ臨床医にとって意義深い症例をCPCとして取り上げ,大学病院などから招聘したコメンテーターの先生方とともに診療科の垣根を越えた白熱した討論を行っています.
当院のCPCは症例検討に引き続き,病態に関連した特別講演を行い,症例を通じた学習とともに最新の知見を学び知識の整理を行う構成となっています.これまでの開催は250回を超えています.
地域の医師会と共催しており,近隣の病院・クリニックの先生方から当院での研修に興味がある医学部生,研修医の先生方まで幅広く参加を受け付けています.
C.P.Cは年3〜4回開催しています.当院のホームページ上で開催日時等をご案内していますので興味のある方はぜひお問い合わせください.
吉田幸弘