第2回 備えあれば憂いなし アイデアのまとめ方,応募分野の選び方,採択課題の検索方法など
科研費の申請にあたって事前の準備がいるのか? と疑問に思うかもしれない.しかし,申請書を書く前に行う事前の準備はすごく大切である.準備をして,また十分な情報を集めて備えておけば,採択される確率もグンと高くなる.応募する内容そのものが重要なのはもちろんだが,どの分野に応募するかも非常に重要だ.またこれまでにどんな研究課題が採択されているか,いったい誰が審査員になっているのかを知ることは大切な情報である.
どのような内容で応募するか,科研費に応募すると決めた時点で多くの方は,普段行っている研究から申請書の内容を考えているだろう.しかし申請書全体の構成を考えずに,いきなり申請書の最初から書いていく人も案外いるようだ.申請書全体の流れを首尾一貫したものにするためにも,ぜひ,まずどのような内容で応募するのか全体の構想を考えて,おおまかなアウトラインを作ってから申請書を作成していくべきだ.
応募内容をまとめていく方法として,アイデアを視覚的にノートに書いていくことをお勧めする(図1).それは,ただ研究内容を頭の中で考えているのと,実際にその内容を文字や絵で視覚化してみるのとでは大きく違うからだ.ノートに書いて目で見ていると,さらに必要な実験とか,こういった実験も可能なのでは,などのヒントが得やすい.どんなふうにアイデアをノートに書いていくかは各人によって異なるだろう.私の場合は研究内容で思いついたことを,形式も何も考えずに,何でもいいから書いていくようにしている.ただアイデアを書き留めておく.きれいでなくても,わかりにくくても,気にしない.ともかく文字や絵にして書くことだ.
これに関してみなさんは「マインド・マップ」というのを知っているだろうか? これはノートの中央にキーワードや主題を書いて,そこから枝状に関連事項を書いていくもので,アイデアをまとめていくのに非常によい方法だと思う.一度本屋などで見ることをお勧めする(参考図書).
「何をやるのか」をはっきりと申請者本人が自覚していないと申請書の焦点が定まらない.うまく書けないときは,多分,何をやるのかがまだ自分の中で決まっていないのだと思う.まずしっかりと応募する内容をまとめることが大切だ.
※データ・年次などは連載当時のものです.現在とは異なる場合があります
児島将康/著
定価 3,800円+税, 2015年8月発行