第2回 備えあれば憂いなし アイデアのまとめ方,応募分野の選び方,採択課題の検索方法など
応募分野の選択は非常に重要だ.ここの選択を誤ると,採択されるべきものも採択されない.申請書の計画内容にふさわしく,正確に審査してくれる領域に応募すること.つまり自分の所属学会の領域,所属講座の分野に出さないといけないということは実はない.
例えば私は「内因性の成長ホルモン分泌促進因子グレリンはドーピングの禁止薬物の対象となるか?」という研究課題で,「健康・スポーツ科学」分野で採択されたことがある.これは,私にとっては全く知り合いもいない異分野であるが,内容を十分に理解してくれると考えてこの分野に応募し採択された.私のまわりにも,科研費をずっと出していたけど採択されず,内容はほとんど同じだが応募分野を変更しただけで採択されたという例が少なからずある.また,MDでない研究者でも,臨床医学分野に応募して採択されることは十分に可能だ.例としてあげると,知り合いのHくんはMDではないが骨形成タンパク質を研究していて,当初基礎研究の部門に応募していたが採択されず,整形外科部門に応募先を変更して採択され,以後継続して採択されている.
ともかく,申請内容の研究テーマを考えて最適の分野に応募するのがよい.例え自分には異分野で知り合いがいなくても,内容がしっかりしてさえいれば大丈夫だし,かえってその分野では新鮮なテーマに映るのか,案外採択されることが多いのだ.
※データ・年次などは連載当時のものです.現在とは異なる場合があります
児島将康/著
定価 3,800円+税, 2015年8月発行