本誌2015年4月号,東京城東病院 総合内科 志水太郎先生のインタビュー記事に収まりきらなかった内容を,ホームページ限定の番外編としてお届けいたします.
志水先生(以下敬称略):2年間研修をしていれば「自分もあんな先生になりたい」という憧れの先生が1人や2人出てきてもおかしくないと思います.その憧れの先生が自分の病院にいたらコミュニケーションがとりやすくてよいですが,実際はそういった恵まれた環境にならないこともあるでしょう.その場合でも,憧れの先生を見つけたら,ちゃんと連絡を取り続けた方がよいと思います.上級医にとってはいつでも,後輩や若い先生からの連絡って,すごくうれしいものです.後輩のなかには,気を遣って連絡をしてこない人がいますが,それはその人にとって大損です.本当に「この人を離したら駄目だ」と思ったら,しっかり捕まえておく.あと,意外なポイントですが,若手から人気のある憧れの先生って,その人の近い距離に若い人があまりいないこともあるんです.なぜなら,みんな遠慮して近くに入って行かないんですよね.でも上級医側からすると,逆にそれがちょっと寂しかったりするんですよ.
私も青木眞先生(サクラ精機株式会社学術顧問)をはじめとした先生方の近くに行ってみて,ようやくわかりました.こんなに人気のある先生なのに,いつも連絡をとっている初期研修医,後期研修医は,そんなに多いわけではないんだと.私もたくさんの後輩と知り合いましたが,やはり自分の印象に残っているのは,自分に連絡をくれる方ですよね.私も先輩からいろいろなチャンスをもらってきたので,後輩にもそういうものを提供したいなと思ったとき,やはり自分の印象に残っている人から頭に浮かぶわけです.
後輩がまめに連絡を取ってくれるって,先輩にとってはすごくうれしいことです.私も今,逆の立場になってそう思います.自分がメールすることで,邪魔になるんじゃないか,失礼にあたるんじゃないか,うっとうしく思われるんじゃないかと考えてしまう気持ちはわかります.例えば私も最初,そういう考えが頭のどこかにありました.でも,意外にそうではないっていうことがわかったんです.どんなに忙しい先生だって,移動時間などでメールくらい読む時間はありますよ.だから研修医の先生はどんどん近況報告などをすればいいと思います.そうすれば,すごくかわいがってもらえると思いますよ.それでつっけんどんな対応をされたら,それは多分ついていくべき人ではないのだと思います.弟子側も師匠を選ぶ権利はあるのでスクリーニングできますよね.
太田先生:なるほど.それは,メンターを選ぶ基準ですね.
志水:その代わり,何かあったら師匠を守るのは弟子の仕事だと私は思っています.これはとても大事なことです.
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