書籍『科研費獲得の方法とコツ』(現在は第8版,発行:羊土社)では,科研費の申請が初めて,あるいは慣れていない研究者の皆さまへ向けて,科研費の概要・応募戦略の立て方・申請書の書き方などを解説しています.
ここでは,常に変更される科研費制度に関して,書籍からの更新点を著者の児島将康先生に随時ご紹介いただきます.ぜひ定期的にチェックしてください.
暑い日々が続くが,今年も科研費の公募時期になった.7月1日から,特別推進研究および基盤研究(S, A)の公募が開始されている.すでに今年4月の本コーナーや「科研費獲得の方法とコツ」の第8版に記載している「公募スケジュールの変更」「審査区分表の改正等」「若手研究(2回目)と挑戦的研究(開拓)の重複制限緩和」「研究インテグリティ」以外に,次の2つの変更が発表された(番号や見出しなどは学術振興会公表資料「令和5(2023)年度公募における主な変更点等」より引用).
令和5(2023)年度の公募より,挑戦的研究(開拓・萌芽)の事前選考により不採択となった研究課題について,電子申請システムにより研究代表者および研究機関に審査結果が通知されることになった.事前の選考による審査の終了後,審査結果が通知される.
現時点で,挑戦的研究の事前選考がどのくらいの件数で行われているのかの情報はないが,不採択結果がいち早くわかるようになるということだ.
令和5(2023)年の研究活動スタート支援〔令和5(2023)年3月上旬公募開始予定.つまりまだ来年の話〕の応募要件が変更され,次のA)またはB)のいずれかに該当する者になる(A)B)の応募要件は学術振興会公表資料「令和5(2023)年度公募における主な変更点等」より引用).
A) 令和4(2022)年10月1日以降に科学研究費助成事業の応募資格を得,かつ文部科学省及び日本学術振興会が公募を行う以下の研究種目(※)に応募していない者
B) 令和4(2022)年度に産前産後の休暇又は育児休業を取得していたため,文部科学省及び日本学術振興会が公募を行う以下の研究種目(※)に応募していない者
(※)は,令和5(2023)年度の科研費において,「特別推進研究」,「学術変革領域研究」,「基盤研究」,「挑戦的研究」及び「若手研究」である.
A)は令和4年度公募では応募資格を得たのが「10月7日以降」だったものが「10月1日以降」に変更され,研究種目(※)に「学術変革領域研究」が加わったことが変更点だ.
B)は同じく研究種目(※)に「学術変革領域研究」が加わったことが変更点だ.A)B)どちらも大きな変更ではない.
多くの研究者が応募する基盤研究(B, C),若手研究の公募開始まで1カ月を切った.準備は十分に進んでいるだろうか?