書籍『科研費獲得の方法とコツ』(現在は第8版,発行:羊土社)では,科研費の申請が初めて,あるいは慣れていない研究者の皆さまへ向けて,科研費の概要・応募戦略の立て方・申請書の書き方などを解説しています.
ここでは,常に変更される科研費制度に関して,書籍からの更新点を著者の児島将康先生に随時ご紹介いただきます.ぜひ定期的にチェックしてください.
令和5年2月7日に令和6(2024)年度(つまり1年2カ月先だ)の日本学術振興会特別研究員の募集がはじまった.申請書の記載内容については昨年のものとほとんど同じなので心配いらないが,申請手続きにあたっていくつかの変更点があるので注意が必要だ.
①特別研究員奨励費(科研費)の応募を,特別研究員の申請と同時に行うこととなった
「特別研究員奨励費の応募」といっても,「研究経費とその必要性」および「研究費の応募・受入等の状況」などの記載をするだけであり,電子申請システムでの入力である.ほとんどの者はそうではないと思うが,「特別研究員奨励費に応募しない場合」(つまり研究費が不要な場合)は入力が不要である.
②特別研究員奨励費の応募区分が2つに分かれた
その特別研究員奨励費だが,応募区分がA区分(従来のものと同じ)とB区分に分かれている.両区分の違いは表のように応募総額の違いだ.どちらの区分を選択しても審査には影響ないので,研究計画の内容からどちらに応募するか判断するとよい.
応募区分 | 応募総額 | ||
---|---|---|---|
研究期間3年 | 研究期間2年 | 研究期間1年 | |
A区分 | 300万円以下 | 200万円以下 | 100万円以下 |
B区分 | 300万円超450万円以下 | 200万円超300万円以下 | 100万円超150万円以下 |
B区分の注意事項として,「研究計画上,応募総額がA区分を超える必要がある場合.採用時評価を参考にし,その必要性が認められた場合に限りB区分として配分額が決定される」とある.
③申請の手続きを「研究者養成事業電子申請システム」で行うことになった
申請の手続きは,従来の「科研費電子申請システム」ではなく,「研究者養成事業電子申請システム」という別のシステムに変更された.②の特別研究員奨励費の応募も,こちらのシステムを使って行う.
以上の変更点への対応はそれほど大変ではないだろう.
提出書類をまとめておこう.申請書は5つから構成されている.
応募の締め切りは令和5(2023)年6月7日17時である.今日からさっそく申請書を作成していってほしい.