ハーバードでも通用した 研究者のための英語コミュニケーション

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本連載が大幅加筆して単行本『ハーバードでも通用した 研究者の英語術』になりました!

本連載の主旨・概要は「はじめに~ひとりで学ぶ英語の心得」をご覧下さい

第5回 英文メールの書き方②
~具体的な英文メール・ライティングの技術

岡田さんのメール:推敲例2,段落をつける

Dear Dr. Miller,

It was a pleasure meeting you at the Immunology conference in Boston. I would like to formally apply for a postdoctoral position in your lab.

I found your presentation at the conference quite fascinating and very close to my own interests. I have already done some work exploring how signaling through toll-like receptors results in the activation of macrophages and in the induction of gene expression. Reading the literature I see that other groups have successfully examined gene and lipopolysaccharide. I would like to explore this line of research under your direction.

Thank you again for speaking with me in Boston. This was my first visit to the city and I appreciate the sightseeing suggestions you made.

Please let me know what application materials I should provide for your consideration. Thank you.

Sincerely,

Hitoshi Okada

推敲例2:そこで文脈の区切りごとに,積極的に段落をつけていきます.これにより文章が読みやすくなり,また意味も取りやくなります.さらに,余白が増えることにより,メール全体の印象が柔らかくなり 取っつきやすくなります.第1段落で注目していただきたいのは,“It was a pleasure meeting you at the Immunology conference in Boston.”というボストンでのお礼と挨拶で,以前に一度会っていることをさりげなく強調するセンテンスをトピック・センテンスに入る前の導入に使っていることです.原則はトピック・センテンス“I would like to formally apply for a post-doctoral position at your laboratory.”を一番最初に持ってくることですが,このように1つもしくは2つのセンテンスを導入に使ってもよいでしょう.日本人としては,むしろこの形式の方が取っつきやすいと感じる方が多いかもしれませんね.そして,第2段落では自分の研究と近況を短く説明し,第3段落以降は挨拶と締めくくりの文章へと続いていきます.

岡田さんのメール:推敲例3,添付ファイルに最初に言及する

Dear Dr. Miller,

It was a pleasure meeting you at the Immunology conference in Boston. I would like to formally apply for a postdoctoral position in your lab.
Please find my attached CV.

…( 中略 )…

I found your presentation………….

推敲例3:推敲例2の場合には,ミラー教授が忙しい人であるならば,第1段落を読んで,このメールがジョブアプリケーションであるとわかれば,それ以降の段落は軽く流して,岡田さんのCVに進むでしょう.添付したCVへの言及の仕方は文末に“Please find my attached CV.”と入れてもいいですが,メールを最後まで読んでもらえない可能性も考慮にいれて,推敲例3のようにメールの最初に添付ファイルに言及するほうがよいでしょう.突き詰めればこのメールが最も伝えたいメッセージは“私のCVを見て,ポジションを考慮してください”ですので,文頭でCVが添付されていることを述べることは理にかなっていると考えられます.

次回は,件名欄の有効な使い方について解説します.

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プロフィール

島岡先生 写真
島岡 要(Motomu Shimaoka)
大阪大学卒業後10年余り麻酔・集中治療部医師として敗血症の治療に従事.Harvard大学への留学を期に,非常に迷った末に臨床医より基礎研究者に転身.Mid-life Crisisと厄年の影響をうけて,Harvard Extension Schoolで研究者のキャリアパスについて学ぶ.現在はPIとしてNIHよりグラントを得て独立したラボを運営する.専門は細胞接着と炎症.
ブログ:「ハーバード大学医学部留学・独立日記」A Roadmap to Professional Scientist
過去の連載:プロフェッショナル根性論 online supplement material

Photo: Liza Green (Harvard Focus)

ジョー先生 写真
ジョー・ムーア(Joseph Moore)
1999年から2004年までハーバード大学医学部のフォンアンドリアン教授のオフィスマネージャーとして,グラントの編集とポスドクと学生のための論文や申請書の作成と編集に関わる.
現在,フリーのライター兼エディターとして,International Piano and Classic Record Review等にクラシック音楽に関する記事の執筆,サイエンスの分野ではグラント申請,論文作成,プレゼンテーションの英文校正や編集を行っている.
ウェブサイト:http://www.bandoneoneditingservices.com/

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