令和5年3月1日より「研究活動スタート支援」,ならびに「海外連携研究」〔従来の国際共同研究強化(B)から名称変更〕の公募がはじまった.締め切りは5月10日(水曜日)の16時30分だ.
上記2つの公募自体は,これまでとほとんど同じ内容だが,今後の科研費公募において重要な変更点がある.それは審査資料の電子化およびカラー化だ.
これまで審査委員が審査において使用するのは,日本学術振興会から送られてくる研究計画調書の冊子だった.冊子はモノクロ(グレースケール)で印刷されており,カラーの図や写真などはモノクロ印刷を前提として作成しなければならなかった.それが今回の公募からはカラーのPDFファイルを用いて行うことになった.ただし現時点で電子化・カラー化の対象となる研究種目は,
である.
具体的な審査方法について,まず従来の冊子体での審査はなくなる.審査委員は電子申請システム上で,応募課題の研究計画調書(PDFファイル)を閲覧して審査するか,あるいはパソコンやiPadなどのタブレットを用いて審査したり,もちろんPDFファイルを印刷して紙媒体でも審査できる.重要なことはシステム上のPDFファイルはカラーであることだ.令和5年度審査においても申請書はPDFファイルでチェックできたが,カラーではなかった.それが今後はカラー化されるということだ.やはり図や写真などはカラーの方が理解しやすいし,色文字も使い方によっては非常に効果的だ.
基盤研究(A,B,C),若手研究,挑戦的研究については電子化・カラー化される時期はまだ未定であるが,いずれそうなると思われる.
その他,今回の「研究活動スタート支援」と「海外連携研究」における変更点は,応募書類の「引き戻し」が可能になったことがある.これは研究計画調書の提出(送信)期限(応募締め切り日時)より前であれば,いちど日本学術振興会に提出(送信)した研究計画調書(応募書類)を引き戻し,訂正や修正を行って再提出ができるということである.日本学術振興会への提出(送信)が,締め切りよりも早い研究機関の応募者が活用できると思う.「引き戻し」は研究者個人ではなく,研究機関の担当者によって行う.
「研究活動スタート支援」や「海外連携研究」に応募する方は,今回の審査方法の変更に対応して,ぜひよい申請書を作成してほしい.