本コンテンツは,実験医学同名連載(2017年8月号〜)からの転載となります.バックナンバーのプレゼント応募は終了しておりますが,パズルのみお楽しみいただけるようになりました(本文の文章は掲載時のままになっております).
第28問のこたえ
先月の『アミノ酸を拾え』の答えはこちら.アミノ酸の配置をよく観察すると,他のアミノ酸と一方向にしかつながらないアミノ酸が2つ(右上の「G」と左端の「N」)があることに気づきます.2つのどちらかが最初か最後になるということで,あとは試行錯誤しながら進めていってください.うまくすべてを拾っていくと,アラニンを拾うのは『8番目』になります.このパズルは,日本生まれのパズル「ごいしひろい」がもとになっています.日本における数学パズルの本としては最も古い,環中仙著『和国智恵較』(1727年)に他の数学パズルとともに掲載されており,日本で古くから楽しまれてきたパズルであることがうかがえます.
余談ですが,拾ったアミノ酸を並べていくと「GIVEQCCASVCSLYQLENYCN」になります.この配列だけを見てピンと来る人は,かなりの専門家だと思いますが,これは1953年,フレデリック・サンガーにより,世界ではじめてアミノ酸配列が解読された,牛のインスリンのA鎖のアミノ酸配列です.この最初の決定にはDNP法が用いられましたが,その後タンパク質のアミノ酸配列決定法は,時代とともに,原理的にも技術的にも急速な発展を遂げたのは皆さんご存じの通り.Edmann法の原理を用いたプロテインシークエンサーの時代を経て,大量のゲノム情報と質量分析計を用いた同定へと,より微量の試料から,より速く,より多くの配列が同定されるようになっています.
来月は,連載30回を記念して,いくつかのパズルをつなげて遊ぶ,パズルリレーを予定しています.お楽しみに!