本コンテンツは,実験医学同名連載(2017年8月号〜)からの転載となります.バックナンバーのプレゼント応募は終了しておりますが,パズルのみお楽しみいただけるようになりました(本文の文章は掲載時のままになっております).
第79問のこたえ
先月の『卵子と精子』は楽しんでいただけましたか? 一般の方には少しギョッとされる見た目の盤面かもしれませんが,研究者の皆さんには,特に違和感なく受け入れていただけたのではないかと思います.オリジナルは「STARS and ARROWS」というパズルですが,2つの関係がまさに精子と卵子の関係に合うのではと考えて,今回の形で遊んでもらうことにしました.解くにあたっては,1つの卵子に2つの精子が向かうことがない,というルールを使うのがポイントです.2つ以上の精子の進行方向になっている枠はすべて卵子が入らない枠ということになり,それらを除いていくと,少しずつ盤面に卵子が配置されていくと思います.中盤以降は,枠外の数字を考慮しながら,卵子を配置していくと,解答図のようになります.矢印に挟まれた下から3列目にある卵子を数えて『5個』が答えとなります.実は,今回の問題は枠外の数字を使う前に,答えにはたどり着く問題となっていますが,その後もすべて埋まるまで解き切ってもらえたのならうれしいです.
先月号の特集は,生殖細胞研究がテーマでした.僕も研究者時代は,受精時のアロ認証を主体に据えた研究プロジェクトに携わっていた関係で,研究対象のホヤだけでなく,さまざまな動植物の受精研究を見聞きする機会がありました.その中では,ゼニゴケなど一部のコケ類の精子やクラミドモナスなどの遊走性のある細胞の中には,1本でなく,2本の鞭毛をもつ細胞があることを知りました.個人的に面白かったのは,1本の鞭毛をもつ細胞が鞭毛と逆の方向に進むのに対し,2本の鞭毛をもつ細胞は,鞭毛が生えている方向に向かって進むという事実でした.特に,1本の鞭毛をもつ精子については,どのような鞭毛の動きや機構で進行方向を制御しているかについての基礎研究はかなり進んでいるようなので,今後,2本の鞭毛をもつ細胞の動く方向の違いを生み出す機構についても,面白いことがわかっていくのかもしれませんね.
今月はここまで,来月のパズルもお楽しみに!