本コンテンツは,実験医学同名連載(2017年8月号〜)からの転載となります.バックナンバーのプレゼント応募は終了しておりますが,パズルのみお楽しみいただけるようになりました(本文の文章は掲載時のままになっております).
第52問のこたえ
先月号の『器官を探せ!』は楽しんでいただけたでしょうか.単語を探すだけなので気軽に取り組めたのではないでしょうか.左上から反時計回りに,「しょうちょう(小腸)」「かすいたい(下垂体)」「きかん(気管)」「はい(肺)」「きんにく(筋肉)」「しょくどう(食道)」…と見つけていき,ぐるっと一周して「すいぞう(膵臓)」「じんぞう(腎臓)」「かんぞう(肝臓)」「せいそう(精巣)」「した(舌)」と「い(胃)」となります.残った3文字「う」「ぞ」「ひ」を並べかえて器官名をつくると『ひぞう(脾臓)』が答えとなります.あちこちに見つかる「い(胃)」をどこで使うか,他の一文字器官名の「は(歯)」「め(眼)」を使うかどうか(「め」はそもそも入ってないですが…),一文字の扱いが,ちょっとした鍵でしょうか.
先月号のテーマは「ヒト発生に挑むオルガノイド」ということで,器官名をたくさん盛り込んだパズルとしてみました.オルガノイドと聞いたときの僕の最初のイメージは,腸のオルガノイドや,腎臓のオルガノイド,心臓のオルガノイドなど,後期発生もしくは器官発生以降のいわゆる臓器を模した細胞集合体という理解でした.組織を模しているとはいえ,かなり機能は限定的で,倫理的問題にはまだなりにくいかなという印象がありました.しかし,調べていくうちに,近年の,ガストロイドとよばれる,三胚葉段階まで進んだ初期胚様オルガノイドの作製の成功や,脳オルガノイドの研究の発展を見て,一気にフェーズが変わってきているのだなと感じました.僕自身は初期胚の研究者だったので,特にガストロイドの話は,興味深く勉強できたのですが,これらは,今後は常に倫理的課題と隣り合わせの研究となるだろうなという不安も頭をよぎりました.すでにさまざまな国際的な指針作りが進んでいるようですが,うまく落としどころを見つけながら,広く受け入れられる科学研究としておおいに発展していってほしいと願っています.今月はここまで,来月のパズルもお楽しみに!