本コンテンツは,実験医学同名連載(2017年8月号〜)からの転載となります.バックナンバーのプレゼント応募は終了しておりますが,パズルのみお楽しみいただけるようになりました(本文の文章は掲載時のままになっております).
第45問のこたえ
先月号の『バイオ de クロス』の答えはこちら.通常のクロスワードパズルは,入る言葉のヒントになるようなカギとよばれる問題文があり,言葉が入る場所も決まっているものですが,この「カギ無しクロスワード」は言葉は最初から与えられていますが,入る場所は指定されておらず,言葉のつながり方からどこに入るかを推測していくパズルです.第5回で出題した「スケルトン」とよばれているパズルの仲間ですね.最初にどこから考えていくかがポイントですが,文字数が多い言葉,同じ文字数のものが少ない言葉から攻めていくのが基本です.例えば,今回は,4文字言葉が2個とも末尾2文字が「シン」なので,それは先に入れると,3文字言葉のつながりから,左の「シン」の「シ」から横につながる3文字言葉は「シート」しかないことがわかります.このように推理を進め,すべての言葉が入ると『ヒストン』という解答が浮かび上がります.先月号の特集テーマが「エピゲノム」ということで,解答もテーマにちなんだものにしてみました.
「エピゲノム」という言葉が,研究のなかで多く使われるようになってきたのは,ゲノム時代がはじまった2000年代中頃だったかと思います.僕自身がいたホヤの発生の世界では,まだ転写因子のカスケードを中心とした研究が華やかな頃で,あまりなじみはありませんでした.一方で,哺乳類の発生においては,X染色体の不活性化や生殖細胞のゲノムインプリンティングなどの論文が発表され,クローン羊ドリーの話題から,体細胞クローンにはリプログラミングが関与していることが示唆されたりと,次々とおもしろい報告がありました.その後,ホヤ研究の世界でもエピゲノムの側面に注目した解析も少しは行われたように覚えていますが,種ごとに多様性がある現象でもあったことからか,今も研究の中心は哺乳類であるように思えます.近年は,疾患にかかわるインプリンティングの大規模調査なども行われているようで,今後の発展が期待される分野ですね.
今月はここまで,来月のパズルもお楽しみに!