本コンテンツは,実験医学同名連載(2017年8月号〜)からの転載となります.バックナンバーのプレゼント応募は終了しておりますが,パズルのみお楽しみいただけるようになりました(本文の文章は掲載時のままになっております).
第87問のこたえ
先月の『神経回路を完成させよう』は楽しんでいただけましたか?「イチマガ」とよばれているパズルを,神経細胞のつながりに見立てての出題となりました.最初は少しルールの理解が難しいパズルだと思いますが,例題を何度か解いてみて,試行錯誤してみると慣れてくると思います.「4」の細胞の周りには,各方向に1マスずつ線が伸ばせる,「1」同士が隣り合っているところでは「1」の細胞同士はつなげられない,などという,基本的なところから解き進めていくことになるかと思います.2つの細胞同士を結ぶのが1本の線のみというわけでなく,複数の違う経路で結ばれることもあるというのが,このパズルのおもしろいところです.そんなつながりの様子も神経細胞に似ているのではないかと思い,モチーフとパズルの親和性に,一人ほくそ笑んでいたしだいです.結局は,試行錯誤しながら進めてもらうことになるのですが,すべてがつながると解答図のようになります.最後に,矢印の間の線の数を数えた「7本」が答えとなります.
先月号の特集は,神経回路による免疫の制御がテーマでした.臨床医学と,基礎研究の現場については違いがあるかとも思いますが,少なくとも基礎研究においては,1990年代後期に神経細胞1個1個を観察できるようになるという技術の進歩があり,画像技術の進化と相まって,一気に神経研究がさかんになってきたように思えます.僕の研究材料だったホヤの幼生も,背側に神経管があり前方にふくらんだ脳のような構造のある,約300個の細胞からなる中枢神経系(CNS)をもっています.それが脊椎動物の脳神経系の基本設計が単純化されたかたちであることから,神経研究がさかんに行われてきました.CNS以外についても感覚神経の起源についてや,運動神経が筋肉を制御する機構が明らかになり,またCNSに属する177個のニューロンについては,すべての位置と接続を調べるコネクトーム解析が完了するなど,今後もさまざまな神経研究がホヤ幼生研究から報告されることを楽しみにしています.
今月はここまで,来月のパズルもお楽しみに!