本コンテンツは,実験医学同名連載(2017年8月号〜)からの転載となります.バックナンバーのプレゼント応募は終了しておりますが,パズルのみお楽しみいただけるようになりました(本文の文章は掲載時のままになっております).
第71問のこたえ
先月の『粘膜で覆いつくせ』は楽しんでいただけましたか? 久しぶりのしっかりとした平面図形パズルだったかと思います.本連載で過去にも書いたように,この手のパズルには決まった解き筋というのはなく,試行錯誤をくり返すしかありません.その過程でも,今回のBのピースのような非対称のピースは扱いが難しく,回転させたらどのような入り方をするのかを,パッと想像できる方は図形問題が得意な方だと思います.盤面にピースを書き込みながら進めていくというのが常套手段ですが,頭の中だけでピースをすべてはめることができた方もいるかもしれません.かなりのソルバーだと言えるでしょう.ちなみに,このようなタイプの平面パズル問題に慣れている方だと,ピースの回転だけでなく,ピースの裏返しも考えないといけないと思われるかもしれません.いままであえて条件としては書いていませんでしたが,本連載の問題は,すべて,ピースの裏返しは考える必要がないように作っています.ピースを裏返した場合には答えがないようにも作ってありますので,今後,ここで同様のパズルに挑戦するときのために,頭の隅に入れておいてください.
先月号の特集テーマは「粘膜免疫」でした.疾患制御の話もあるので,哺乳類,特にヒトに焦点が当てられていますが,僕の性分としては,このようなテーマでは進化学的な話がどうしても気になります.度々登場する,海産無脊椎動物のホヤでの研究をご紹介します.ナメクジウオやヌタウナギなども含めた腸内粘液によるバリア機構の研究では,哺乳類へと進化する前の生物においては,キチンで構成された膜があることにより腸管表面への腸内細菌の接触が防がれている一方,哺乳類ではキチン性バリアが存在せず,腸管表面の粘液層に腸内細菌の定住が可能となったという説が提案されています.先月号の特集では,哺乳類では,そうした共生細菌が生体恒常性や疾患に寄与している可能性も議論されており,この分野では非常に興味深い話題がこれからもたくさん出てきそうな気がします.
今月はここまで,来月のパズルもお楽しみに!