本コンテンツは,実験医学同名連載(2017年8月号〜)からの転載となります.バックナンバーのプレゼント応募は終了しておりますが,パズルのみお楽しみいただけるようになりました(本文の文章は掲載時のままになっております).
第73問のこたえ
先月の『ウサギとウナギ』は楽しんでいただけましたか? 法則が見つからないとなかなか進まないと思います.1つの文字の並びから2種類の単語ができているように見えることに気づき,さらに山型の線が,分子生物学の教科書で一度は目にするあのマークに見えてくれば,もう解けたも同然です.そう,スプライシングのマークですね.あとは,イラストから適切な言葉を導きだすだけで,1つ目は「ほうてい」「ほたてがい」,2つ目は「はちこう」「はくちょう」,3つ目は「しんりん」「しけんかん」となり,そこから元の文字列を復元し,A〜Cをつなげると「ほうし」となります.この「ほうし(胞子)」に関係しているということで,ツクシの絵が描かれている『2』が答えとなります.
先月号の特集テーマは「がんのスプライシング異常」ということで,図式の法則に,スプライシングのモチーフをとりこんでみました.特集は,1つの転写産物内でのスプライシングであるシススプライシングの話が中心になっていたかと思いますが,僕が研究動物に使っていたホヤは,複数の転写産物間でのスプライシングであるトランススプライシングによって,最終転写産物に5´スプライシングリーダー(SL)配列が付加されている唯一の脊索動物ということで注目されていました.所属していた研究室では,ホヤでのゲノム解析が終了したのち,遺伝子モデルの改良・整備などを目的として,SL配列遺伝子にターゲットを絞った発現配列タグ(EST)の取得なども行われていました.さらにその後,TSS-seq法による転写開始点のゲノムワイドな解析なども行われた結果,トランススプライシングを受ける遺伝子・受けない遺伝子が,それらの頻度とともに網羅的に記録されています.これらトランススプライシングの生物学的な意味を理解するには至っていない部分もあるとは思いますが,貴重な基礎データの1つとして,今後,さまざまな形で利用されていくのが楽しみでもあります.
今月はここまで,来月のパズルもお楽しみに!