本コンテンツは,実験医学同名連載(2017年8月号〜)からの転載となります.バックナンバーのプレゼント応募は終了しておりますが,パズルのみお楽しみいただけるようになりました(本文の文章は掲載時のままになっております).
前回のこたえ
先月の『キメラ分子を作ろう』は楽しんでいただけましたか? 先月号の特集テーマは「次世代CAR-T細胞」でした.僕ははじめてCAR-T細胞という言葉を聞いたので勉強してみたところ,人工的なキメラ抗原受容体(CAR)を導入した,がんに対する治療に用いるT細胞だということを知りました.そこで,キメラに着目してパズルを用意しました.各5種類の2つのドメインが組み合わさって,25種類のキメラ分子ができている様子を想像して取り組んでもらえたなら幸いです.
さて,このパズルを解くにあたり,先々月に続き,どこから手を付けていいかがわかりにくいかと思います.最初は真ん中のタテ列の5マスの中に入っている数字に注目してみると,1・3・4がすでに入っているので,残りは2と5,上から2列目の左端には5がすでに入っていることから,真ん中のタテ列の上から2段目のCの相手は2ということがわかります.このようにタテ列・ヨコ列間でドメインを比較して埋めていきつつ,さらに「同じ組み合わせがない」というルールを要所要所で活用していくと,少しずつ埋まっていきます.すべてのマスを埋めると,二重枠に入る答えは『1D』だとわかります.
今回のパズルは,数学の世界で「ラテン方格」とよばれているものを応用したパズルです.n行n列の表に,n個の異なる記号を各記号が各行および各列に1回だけ現れるように並べたものをラテン方格とよび,パズルの世界では,数独ともよばれるナンバープレースというパズルがその応用例です.今回のパズルはもう少し複雑なしくみで,2つのラテン方格を重ね合わせた「グレコ・ラテン方格」というものを応用しています.生物研究の世界には一見関係ないように見える「ラテン方格」や「グレコ・ラテン方格」ですが,じつは統計学のなかの実験計画法という分野に応用され,大規模実験計画の管理や解析には必須の知識となっています.
今月はここまで,来月のパズルもお楽しみに!