本コンテンツは,実験医学同名連載(2017年8月号〜)からの転載となります.バックナンバーのプレゼント応募は終了しておりますが,パズルのみお楽しみいただけるようになりました(本文の文章は掲載時のままになっております).
第61問のこたえ
先月の『すべてをつなげて考える』は,楽しんでいただけましたか? 先月号の特集テーマが「データ科学」ということで,さまざまな方法で得られたデータを統合して解析するというイメージを反映させてみました.パズルとしては,うまくパーツをはめて,すべての線をつなげる「線つなぎパズル」に分類されるパズルです.盤面にすでにある線と,すべてのパーツに描かれている線の方向を確認すると,盤面の左下(E)に入るピースが,「脳」が描かれたピースに決まることがわかります.その後も,隣り合うピースの線の方向を確認しながら,合うパーツを順番に入れていくことになります.すべての線がつながるようにすべてのパーツを配置すると,解答図のようになり,「顕微鏡」の描かれたピースが入る位置は「C」となります.
生命科学研究において活用されるデータ科学の特徴としては,マイクロアレイや質量分析,さらには,多量の顕微鏡画像など,いわゆるウェットな研究から得られるデータの利用が多いことがあげられるかと思います.こうしたときの一番の課題は,いかに生体サンプルを実験過程で劣化させずに,最終的に質の高いデータをとり出せるか,ということになります.データの質を上げるためには,くり返しの測定や,複数サンプルを用いた解析が望ましいのですが,めったに起きない現象のときに得られるサンプルを必要とする場合や,サンプルそのものの量が希少だという場面もたくさんあります.知見を引き出していくデータ解析部分が注目を浴びがちですが,背後には,貴重で希少なサンプルからも均質な質の高いデータを一発勝負で得られる,高い実験技術をもった研究者や技術者の存在があることも忘れてはいけないと思っています.
今月はここまで,来月のパズルもお楽しみに!