本コンテンツは,実験医学同名連載(2017年8月号〜)からの転載となります.バックナンバーのプレゼント応募は終了しておりますが,パズルのみお楽しみいただけるようになりました(本文の文章は掲載時のままになっております).
第75問のこたえ
先月の『単量体は何?』は楽しんでいただけましたか? 一見,ほとんど手掛かりがないように見える問題ですが,1マスだけ突き出た箇所からマスをつなげていき,単量体の形を推測していくことになります.全体の形はすべて15マスなので,単量体の大きさは5マスになる,というのも大きな手掛かりです.あとは毎回のことではありますが,試行錯誤するということで,6つそれぞれの三量体を解答図のように分けられればゴールです.最後に,同じ形の単量体を探すと,どちらもPのような形をした単量体に分けられる『BとF』が答えとなります.興味のある方は調べていただければわかりますが,正方形5つをつなげてできる形は12種類しかないので,そのすべての形を順番に当てはめてみるという方法も確実かもしれませんね.
先月号の特集テーマは,タンパク質立体構造の予測AI「AlphaFold」に焦点をあてたものでした.生命科学研究がオミクス時代に突入し,多種多様な大規模解析や,ロボット技術などを活用した大規模データ取得が行われるようになったことからも,これら大量のデータをAIと組合わせて活用しようとする動きというのは当然の流れに思えます.国も「バイオDX」と称して,データ駆動型・AI駆動型の生命科学研究を後押ししています.しかし現在のところ,AIはあくまでも,実験手法の一つであり,研究全体の前提となる仮説の設定や実験の設計,さらにデータの解釈にあたる部分は研究者のセンスが担っているように思えます.この研究者のセンスの部分までAIが担うのがAI駆動型研究だとすると,それが成しえたときには研究者は必要なくなるのでしょうか? しかし,そのAI駆動型研究を設計するのは研究者ということで,やはり研究者は必要なのではないでしょうか? こんな,卵が先か鶏が先かのような思考を巡らせてもみる次第です.
今月はここまで,来月のパズルもお楽しみに!