本コンテンツは,実験医学同名連載(2017年8月号〜)からの転載となります.バックナンバーのプレゼント応募は終了しておりますが,パズルのみお楽しみいただけるようになりました(本文の文章は掲載時のままになっております).
第87問のこたえ
先月の『漢字でしりとり』は楽しんでいただけましたか? マスに書かれた数字だけをヒントに,空欄のマスすべてに文字を入れるナンバークロスワード( =ナンクロ)というパズルが有名ですが,クロスワードではなく漢字のしりとりを完成させてもらうのが目的です.しりとりですので,始まりと終わりがあるのですが,解くにあたっては途中のわかるところから埋めていくことになります.本問だと「19泳大18」(水泳大会)や「世13一」(世界一)などが糸口になったのではないでしょうか.マスが1つ埋まると同じ数字のマスには同じ漢字が入ることから,少しずつ手がかりが増えていくことになります.緑マスが3つ以上続くところは,2文字熟語のしりとりが続くことになり,考えられる熟語も多く,難しかったかもしれません.こつこつ埋めていくと後半はどんどん解きやすくなっていったかと思います.しりとりがすべて完成すると解答図のようになり,16-12-4の文字をつなげた「食理学」が答えとなります.
先月号の特集は,食理学がテーマでした.僕としては初めて聞いた学問分野名で,興味深い言葉でしたが,医薬品と生体の相互作用を研究する「薬理学」に対して食品と生体の相互作用を研究する「食理学」ということで,腑に落ちた次第です.英語ではBromacologyとかDietologyとよばれるようで,1990年代に使われはじめた,比較的新しい言葉とのこと.栄養素の欠乏からくる病気の改善・予防を目的とする個体レベルの従来の栄養学の枠を超え,細胞レベル,分子レベルといった形で解像度を上げた分子栄養学という言葉もあるようです.薬は基本的に単一の成分分子である一方で,多様な成分を含む食品を対象とする食理学は複数成分の複合的な動態を見ることが想像されるため,現在の研究技術の進歩によりようやく挑戦できる課題になってきたようにも思えます.「食は医なり」「医食同源」という言葉の裏にある,分子メカニズムが明らかにされることを楽しみにしています.
今月はここまで,来月のパズルもお楽しみに!