本コンテンツは,実験医学同名連載(2017年8月号〜)からの転載となります.バックナンバーのプレゼント応募は終了しておりますが,パズルのみお楽しみいただけるようになりました(本文の文章は掲載時のままになっております).
第86問のこたえ
先月の『誰が座っている?』は楽しんでいただけましたか? パズルの分類でいうと「論理パズル」という分類のパズルになります.ひらめきが必要なタイプのパズルと違い,論理パズルは与えられた条件を丁寧に整理し,それらの条件を満たすような可能性を一つひとつ場合分けして進めていくと,論理的に解答までたどり着くことができます.今回の問題については,「学生AとCが隣り合っている」「学生AとG,学生CとEの間には1人」という2つの条件に注目して,この2つに合う組合わせを絞っていきます.そこからさらに「学生BとC,学生DとFの間には2人」という条件で絞り込むと,一番スムーズにわかると思います.最後に,学生Bと隣り合う人の条件を確認すると解答図のような並びになります.実際に解いた方で,解答図と逆回りの配置になった方もいらっしゃると思いますが,その配置も正解です.それら2つの配置は鏡写しになっており,本質的には解答は1つ.どちらの場合でも,教授の正面に座っているのは『学生E』となり,それが答えとなります.
今回のパズルで取り上げた学生と教授との議論の場.円卓でというのは流石に珍しいかもしれませんが,研究室の日常風景のなかにはよくあることと思います.学生はもちろんのこと,すでに学生ではなく先生とよばれているような研究者であっても,良い研究者であればあるほど,他の研究者との議論を厭わないように思えます.時として,一人の天才が一人だけで考え導き出した研究結果が発表されることもありますが,それらでさえも発表後に他の研究者と議論することで,認められ,整理され,さらに研究が進み,成熟していくという過程は,どの学問分野でも同じなのではないでしょうか.そういう場の1つが,多くの同分野の研究者が一堂に会する学会であり,現地で集まって顔を合わせたときにする些細な会話が,今後の研究に向けて重要なきっかけを与えることになるということは,僕自身も感じてきました.コロナ禍を経てオンラインでの会議や学会も増えてきているようですが,議論のしやすさでいうと,やはり現地開催,現地参加がよいと思う次第です.
今月はここまで,来月のパズルもお楽しみに!