本コンテンツは,実験医学同名連載(2017年8月号〜)からの転載となります.バックナンバーのプレゼント応募は終了しておりますが,パズルのみお楽しみいただけるようになりました(本文の文章は掲載時のままになっております).
第62問のこたえ
先月の『架空分子を完成させよう!』は,楽しんでいただけましたか? そんなつながり方は絶対しない,こんなわけのわからない分子があるわけない,というようなツッコミも多々あったとは思いますが,あくまで架空の分子ということでご理解ください.さて,パズルを解いていくのには,「結合が2本まで」というのが一番のポイントとなります.例えば手が3本ある窒素原子の結合先が2カ所しかない場合,どちらかに1 本,のこりに2本の結合となります.したがって,最低1本の結合は両方ともに伸ばすことができます.このように,必ず伸ばせる結合カ所を探していくと徐々に全体がつながっていきます.そして,最後に「一つながりになる」という条件なども考えながら,すべての原子をつなげていくと,解答のようになります.よって,二重結合の数は「12」が正解となります.このパズルは島と橋をモチーフにした「橋をかけろ」というパズルがもとになっています.先月号の特集テーマが「分岐鎖アミノ酸」ということで,アミノ酸の原子のつながりの図を見ていたときに,この種のパズルが頭に浮かんだので採用しました.
僕自身の研究環境を振り返ると,発生学からプロテオミクスにいたるまで,発生学では翻訳物質としてのタンパク質の機能を日常的に考え,プロテオオミクスでは,まさにアミノ酸の並びを考えることでタンパク質を同定していました.常に研究の場にあったものの,僕にとってはあくまでアミノ酸は道具であり,アミノ酸そのものは研究対象ではありませんでした.そのため,アミノ酸そのものの性質や生理学的機能などについての知識は,学部生レベルで止まっていることを,今回パズル制作のために改めて勉強して痛感しました.
前回の特集は,自分の体の活動について考えてみても,一番重要で基本的なエネルギー源でもあるアミノ酸について,改めて目を向けるきっかけになった次第です.
今月はここまで,来月のパズルもお楽しみに!