本コンテンツは,実験医学同名連載(2017年8月号〜)からの転載となります.バックナンバーのプレゼント応募は終了しておりますが,パズルのみお楽しみいただけるようになりました(本文の文章は掲載時のままになっております).
第65問のこたえ
先月の『血液大循環』は,楽しんでいただけましたか? 先月号の特集テーマが「個体生存と本能行動」ということで,生体の恒常性にイメージを広げて,全身にさまざまな栄養分や酸素を運び,生体の維持に必須である血液の流れをテーマにしたパズルを考えました.パズルとしては,問題の意味はわかるが,どこから解いていいかが難しいというものだと思います.基本方針としては,1つのマスから2本しか線が出ていない所は道筋が決まりますので,そこから前後に線を伸ばしていき,手探りで適切な道を探していくということになります.本問ではそれに加え,中央のマスを20個目のマスに直接つなげてしまうと,下方の7マスをすべてつなぐことができなくなってしまいます.そこから,大まかな道筋が決まり,細かい部分を試行錯誤しながらつなげていく形になると思います.その結果,解答の赤い道のようにつなげばすべてのマスを巡って一周する道となり,マスを順番に数えていくと,青いマスは『13 個目』となります.余談ではありますが,全体の形,何かに見えた方もいるのではないでしょうか? 実は,上部の出っ張りが頭,左右の出っ張りは,左手と右手,下には左足と右足,で人の体の形を意識して作りました.中央より少し左に心臓も配置しています.イトマキヒトデに見えたという方も多いかもしれませんが,ヒトデには心臓がありませんね.
心臓というと,学生時代の研究材料であるホヤには心臓がありました.出身研究室では,ちょうど在籍していたころにホヤの心臓形成に必須な遺伝子が同定されていたことが思いだされます.変態後の幼若体を実体顕微鏡で見ると,透明な管の一部が拍動している様子が観察されます.ホヤの心臓の変わった特徴としては,一定時間ごとに拍動の向きが逆になり,血液が流れる向きもそれに応じて逆転するということが知られています.神経支配はないことからも,どのようにこれらの動きが制御されているかは興味深いところではありますが,近年の研究では各心臓部位特異的トランスクリプトーム解析などより,そのメカニズムにせまりつつあるようで,近い将来,面白い事実が明らかになることを期待しています.
今月はここまで,来月のパズルもお楽しみに!